{"created":"2021-03-01T06:13:56.642486+00:00","id":11054,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"39898c23-9e5b-4be2-9910-fb56d5260fa7"},"_deposit":{"id":"11054","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"11054"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:soar-ir.repo.nii.ac.jp:00011054","sets":["1016:1018:1070:1079"]},"author_link":["34727"],"item_1628147817048":{"attribute_name":"出版タイプ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85","subitem_version_type":"VoR"}]},"item_6_biblio_info_6":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2007-03-30","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographicPageEnd":"33","bibliographicPageStart":"1","bibliographicVolumeNumber":"5","bibliographic_titles":[{"bibliographic_title":"信州大学農学部AFC報告"}]}]},"item_6_description_20":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"木材のメカのソープティブ(MS)クリープは応力と含有水分の相互作用によって生じる特徴的な変形挙動である。これまで数多くの研究がなされてきて,幅広い分野で優れた成果が収められたが,この複雑な現象に対して,統一した見解がまだ得られていない。MS クリープの機構について,水分脱着に際して生じる空孔が変形を促進するとの説がある一方で,細胞壁層間の滑りなど木材独特の細胞壁構造に起因するとする説があるなど,現在においても,その機構を十分に説明できない状態が続いている。現象面からみると,連続負荷のもとでのMS クリープは,負荷下の脱湿/吸湿過程における新たなクリープ変形と,無負荷下の吸湿/脱湿過程におけるセットの回復の重ね合わせに等しいことが示され,あたかも木材は,負荷を受けた含水率変化区間を記憶しているかのように振る舞うことが知られている。本研究では,細胞壁実質を構成する疎水性成分であるリグニンに着目し,これまで検討されていない木材のMS クリープに及ぼす疎水性成分の影響を放射方向と繊維方向試験片で明らかにした。第1章では,木材のMS クリープ挙動に関する背景や既往の研究を紹介した。第2章では,放射方向のMS クリープに及ぼす脱リグニン処理の影響を検討して,温度一定条件で,水分サイクル下における異なった3つの負荷条件:Ad負荷(吸湿過程に負荷し,脱湿過程で無負荷);Da負荷(脱湿過程に負荷し,吸湿過程で無負荷);AD(連続負荷)のもとで,3段階の脱リグニン処理した試験片及びコントロールを用いて,木材のMS クリープに及ぼす脱リグニン処理の影響を比較し,検討し,以下のことが明らかとなった。1.リグニンが減少すると,瞬間コンプライアンス及び平衡含水率が増加した。2.水分サイクル下のMS クリープは,脱リグニン処理によって顕著に増加し,最大でコントロールの5.2倍に達した。S処理でとくに顕著で,第1サイクルだけでなく第2サイクル以降の吸湿過程でもクリープが増加した。3.脱リグニン処理によって,MS クリープ係数(ΔJ/Δu,J はコンプライアンス,uは含水率)が増加し,また,生じた変形がセットされ易くなった。この傾向はDaよりAdで顕著であった。従って,Ad過程を繰り返す時Daよりもたわみの増加が顕著であった。以上の結果から,放射方向の木材のMS クリープに及ぼす脱リグニン処理の影響は,量的には顕著であったが,定性的にMS クリープ機構を大きく変えるものではない。さらに,重ね合せの検討から,吸湿過程のMS クリープ挙動が大きく寄与していることがわかった。第3章では,MS クリープ挙動を解明するために,第2章で得られた放射方向のセット材の回復経過を検討した。比較のために単一水分過程で調整したセット材(A及びD)を用いて,異なった水分履歴をうけたセットの回復に及ぼす脱リグニン処理の影響を明らかにした。1.除荷後の残留セット・コンプライアンス(Js)は脱リグニン処理によって増加したが,コントロールに対する処理材のJsの比でみると,瞬間コンプライアンスの比と比例した。このことから,脱リグニン処理はMS メカニズムに顕著な定量的な変化をもたらすが,定性的なシステムは変化しないと思われる。2.“Ad”あるいは“A”のセットの回復は,どの脱リグニン処理レベルにおいても“Da”または“D”より小さい。試験片調整における含水率範囲内では,“Ad”または“A”の回復は遅く,これを超えると速くなった。“Da”と“D”では逆で速い回復から遅い回復へと移行し,“AD”では一定になった。“AD”の回復曲線は“Ad”と“Da”の回復曲線の重ねあわせと一致した。3.脱リグニン処理によって含水率範囲は拡大し,この上限は回復曲線の変曲点とほぼ一致した。この変曲点前後の回復速度の差は,Ad・AおよびDa・D試験片において,脱リグニン処理によって減少した。第4章では,繊維方向のMS クリープに及ぼす脱リグニン処理の影響を検討して,放射方向の結果と比較した。1.AdあるいはDaでは,負荷と除荷を繰り返す時,MS クリープ係数が増加するとともに,含水率変化量が増加し,加えて発生した変形がセットされ易くなることによって,脱湿時負荷のDaと吸湿時負荷のAdの両過程において,ほぼ同程度に,サイクルに伴ってたわみが増加し,またセットが増加した。2.連続負荷(AD)のもとで含水率サイクルを繰り返すとき,脱リグニン処理によってトータルコンプライアンスが増加し,強度に脱リグニンした試験片では,無処理の約1.7倍となった。また,すべての脱湿過程でたわみが増加し,第1サイクルを除くすべての吸湿過程で顕著なたわみの減少を示した。3.MS クリープに及ぼす脱リグニン処理の影響は,R方向ではきわめて顕著であったが,L方向では比較的小さかった。また,含水率サイクル下の吸湿過程において,R 方向では変形が増加する傾向を示したのに対して,L方向では明らかな変形の減少を示した。このような構造方向による脱リグニン処理の影響の相違は,細胞壁二次壁のミクロフィブリルとマトリックスの相互作用に大きく依存すると思われる。すなわち,脱リグニン処理によって吸湿膨潤性を増し,剛性が小さくなったマトリックスの影響が,R 方向では直接的に現れるのに対して,L方向ではミクロフィブリルとの相互作用として現れ,Jsに及ぼす影響が比較的小さく,また,吸湿過程でたわみが減少したものと考えられる。木材のMS クリープに及ぼす脱リグニン処理の影響を検討してきたが,リグニンはMS クリープ機構において抑制因子でこそあれ,主役でないこと,MS クリープによって発生したセットの記憶効果においても,リグニンは記憶の度合いに影響するが,その原因ではないことは明らかであろう。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_6_description_30":{"attribute_name":"資源タイプ(コンテンツの種類)","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"Article","subitem_description_type":"Other"}]},"item_6_description_5":{"attribute_name":"引用","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"信州大学農学部AFC報告 5: 1-33 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