@article{oai:soar-ir.repo.nii.ac.jp:00011201, author = {中川, 恒治}, journal = {信州大学農学部演習林報告}, month = {Mar}, note = {本研究は,入会権に基づく森林の所有・保有・管理等の主体である入会集団と,その入会権の係る入会林野について,その今日的役割や意義を再評価しようというテーマのもとで,その入会林野利用の変遷を対象とし,法社会学上の「入会権の解体」概念を批判的に継承・再構成した「入会林野利用の解体過程」について,理論的並びに実証的に明らかにすることを目的とした。研究の課題は,①現時点における入会林野の全国的な空間分布の把握と特性の分析,②「入会林野の解体過程」に関する歴史的並びに今日的検討,③「入会林野の再編」に関する今日的動向の把握と検討,④全国的規模での入会林野の今日的類型化の検討。の4点とした。諸先行研究の成果から「入会林野の利用形態が生産様式および社会関係に伴って変貌する」という実態認識を抽出した。その「利用形態の変貌」の指標は,法社会学研究において整理された「入会権の解体」の内容を基礎とする。しかし,この概念のみでは実態としての入会林野の消滅が捕捉しきれないため,第1章で新たに「入会林野の解体過程」として「入会林野利用型態の変貌と消滅」と「入会林野利用形態の変貌と存続」の両者を明瞭に区別する概念の再構成を行った。第2章では,本研究の課題①及び④に係わり統計的概観および多変量解析(主成分分析)を行った。また,入会集団の経営体としての評価や検討という点に関して,入会集団を「近代化」したもの・しないものに分け,それぞれに対して公的資料等の利用と具体的な対象設定により可能な限りの接近を試みた。第3章では,入会的活動の肯定的側面の今日的表現型態の発見・評価,たとえば,現代の林業をめぐる経済的環境・採算性が悪化している状況下にもかかわらず育林活動が継続して行われている事例を対象とした。これらは本研究の課題②に関わり,長野県下の実態調査結果に従って述べた。そして,第4章では,入会集団と地縁団体・部落会等の関係における「部落法人化問題」が1991年に「再び」法的に可能となったため,本研究の課題③に関わり,長野県下の実態分析に基づき論じた。本研究によって明らかになったことは,主として以下の3点である。①入会林野及び入会林野集団の概況について,近代化法以後に整備された生産森林組合の経営不振の問題を生じていること,他方,現時点の未整備集団は現状維持的意思が強く,近代化整備事業の不振を生む原因となっていること。また,長野県下の未整備集団は全国に比して利用形態および入会権の態様の関係において未分化的様相を呈していること。②実態調査では,長野県駒ヶ根市中山区を設定し,入会林野の解体過程が詳細に明らかになったこと。また,この集落で今日まで入会権者の共同賦役により人工林の手入れが続いているが,このような入会集団は地域資源管理の担い手として重要な役割を果たしており,入会林野の現代的存在意義を見いだすことができること。③入会権公権論・私権論の対立の現代的な現れと見なすことのできる入会集団と地縁団体法人化に関し,入会集団をして地縁法人化という出口を求めさせている点で入会林野の解体過程と整備事業におけるあらたな関係性が存在すること。以上,本研究は歴史的な資料に基づく調査・分析,集落単位のアンケート調査,聞き取り調査,統計的分析等及び,施策に関する最新の動向把握を含め様々な手段にて理論的・実証的に研究の目的および課題に接近した。それらを統合した実態把握・分析の視角として「入会林野の解体過程」は有効であるといえる。今後は,海外研究との交流が入会研究の重要課題であると考えられる。, Article, 信州大学農学部演習林報告 34: 1-116(1998)}, pages = {1--116}, title = {入会林野の解体過程に関する研究}, volume = {34}, year = {1998} }