@techreport{oai:soar-ir.repo.nii.ac.jp:02000001, author = {斎藤, 祐也 and 広瀬, 純夫}, month = {Mar}, note = {2020 年に始まった新型コロナウィルス感染拡大は,企業業績に,深刻な影響を及ぼしてきた.感染拡大の当初である2020 年初頭には,その後の業績への影響を懸念して,予備的貯蓄動機による流動性資産保有行動を変化させた可能性がある.金融市場に情報の非対称性が存在し,必要な資金をフレキシブルに調達できない恐れがあると予想すれば,将来の資金需要に備え,自ら現金等の流動性資産を保有する可能性がある.そこで,本論文では,2020年4月に緊急事態宣言が発令される直前の3月末の行動に着目し,3月末を決算日とする上場企業を対象に,2017年~2020年の3月末のパネルデータを用いて,流動性資産保有行動に影響を与える要因について,分析を行った.従来,日本の金融市場では,情報の非対称性の問題を軽減するために,メインバンクとの取引関係を構築し,資金制約リスクへの保険機能をメインバンクが果たしていると指摘されていた.この場合,企業自らが,流動性資産を保有して,資金制約リスクへ備える必要性は低くなるはずである,ところが,本論文の分析では,メインバンクからの借入金依存度(メインバンクからの借入金/借入金総額)を尺度としたメインバンクとの取引関係の濃淡が,2020年3月末の流動性資産保有に差異を生じさせる証左は,得られなかった.ただし,留意すべき点は,2020年3月末の流動性資産保有行動と,負債比率との関係である.2017 年~2019 年の3月にかけては,負債比率が高い企業は,流動性資産保有が少なくなる傾向にある.ところが2020年3月末については,逆に,負債比率が高い企業ほど,流動性資産保有が増える傾向にある.負債比率の高さがデフォルトリスクの大きさと対応しているとすれば,2020 年には,負債比率の高い企業では,デフォルトリスクの拡大に備え,流動性資産を確保していたと解釈できる.一方で,2020年3月末の負債比率は,メインバンクからの借入金依存度(メインバンクからの借入金/借入金総額)が低い企業ほど,低くなる傾向にあり,負債比率の低下によって,デフォルトリスクの拡大を抑制した可能性がある.このことは,メインバンクとの親密な関係がある(メインバンク借入金依存度が高い)企業にとっては,不意の資金需要への対応として,依然として,メインバンクに一定の役割を期待しているため,負債比率を低下させる必要がないと認識していたと考えられる.この他,2019 年度中に,自社株買いによる株主還元に積極的に取り組んだ企業では,流動性資産保有が低くなる傾向を確認できた.また,株主構成との関係では,持合い株式比率が低い企業ほど,流動性資産保有が少ない傾向にある.このことは,株主からの利益還元圧力が強く働く企業ほど,過剰な流動性資産保有をし辛い傾向にあることを示している., Article, Faculty of Economics and Law Shinshu University Staff Paper Series. 4 : 1-12 (2021). (Staff Paper No.20-02).}, title = {新型コロナウイルス感染拡大の影響が企業の流動性資産保有行動に与えた影響 : 上場企業の流動性資産保有に関するパネルデータを用いた実証分析による検証}, year = {2021} }