@article{oai:soar-ir.repo.nii.ac.jp:02001335, author = {磯部, 美穂}, issue = {2}, journal = {信州大学人文科学論集}, month = {Mar}, note = {再帰代名詞(Reflexivpronomen)は,日本人ドイツ語学習者にとって理解が難しい文法 現象のひとつである。その理由として,再帰代名詞が使用されるドイツ語の表現を日本語に 訳した場合,明示的に訳出されないという点が挙げられる。例えば,sich vorbereiten は 「準備をする」と対訳されるが,この表現の中には,再帰代名詞と動詞,さらにはその行為 者である主語との文法的な関係性が明示されていない。多くの学習者は,テキスト読解・受 容の際には,再帰代名詞が含まれていることは認知することができ,熟語として学習できて いる場合には,その対訳をもって理解することができる。しかしながら,発話や作文など, 再帰代名詞を使った文を生成することは,より意識的な認知的過程が必要となる。学習者に とって,母語である日本語には訳出されない再帰代名詞の統語的な役割を言語感覚の中に取 り入れ,能動的に使用することは難しい。このことは,表現のヴァリエーションが少なく, 同一テキスト内でコプラ動詞(Kopulaverb)のsein や助動詞werden を用いた受動表現が 繰り返し使用される傾向があるという学習者作文コーパスの分析結果からも確認することが できる(Isobe et al. 2021; Isobe 2015)。  以上のことを踏まえ本稿では,再帰代名詞の統語的機能についてこれまでの解説書を概観 し,実際の文例で表現されている意味用法について考察を試みる。再帰代名詞は,文の生成 過程において統語的に重要な役割を担っており,多様な事象を言語化することができる(最 上2005:165)。それは,日常的な行為(sich die Zähne putzen(歯を磨く),sich anziehen ((衣類などを)着る),sich duschen(シャワーを浴びる))や感情・思考(sich ägern(怒 る),sich wundern(不思議に思う),sich interessieren(興味がある))から非人称動詞を 含む成句表現(es loht sich(意義がある))など多岐に渡る。これらの意味をあらわす際に は,主語とそれと同一の対象を指示する再帰代名詞,さらに二つの文成分をつなぐ動詞との 間にどのような意味的な関係性があるのか考察していく。  考察においては,再帰代名詞の代名詞としての機能である照応性(anaphorisch)(河原 2018:111f.)も考慮し,文脈が明確である物語テキストから文例を引用する。また,必要に 応じて,言語コーパスDWDS(= Ditales Wörterbuch der deutschen Sprache)1から文例を 引用する。, Article, 信州大学人文科学論集 10(2) : 11-20, (2023)}, pages = {11--20}, title = {ドイツ語の再帰代名詞に関する考察(1)}, volume = {10}, year = {2023} }